原作ネタバレ

「元夫の番犬を手なずけた」韓国の原作小説ネタバレ感想 |4巻・外伝

コミカライズ連載している「元夫の番犬を手なずけた」の韓国原作小説を読んだのでネタバレ感想を書いていきます。韓国語は不慣れなので翻訳が間違っていることもあります。

(間違っているところを見つけた場合はtwitterのDMでコッソリ教えてください…)

元夫の番犬を手なずけた(전남편의 미친개를 길들였다)

原作:Jkyum

16.秋から冬まで

傷と命

いい香りがした。

同時に細いものが顔をくすぐる。ビルヘルムは目を開ける前に深呼吸をした。そして手を伸ばして、その細いものをいっぱい握った。髪の毛だった。

その色が秋の野原のようであることはすでに知っていた。

目を覚ますと同時に、その髪に口付けをする。かすかな日差しが自分の手とその髪の上を照らした。

充満していた。晩春の香ばしくて暖かい匂い、手をくすぐる温もり。手を一度伸ばせば届くところで夢中で寝ている、髪の毛の持ち主。
ラインハルト。

ビルヘルムは今すぐラインハルトを抱きしめたい気持ちと、疲れて寝ているラインハルトを起こしたくない気持ちで葛藤しました。

しかし、ラインハルトはビルヘルムが答えを出す前に寝返りをうってビルヘルムの懐に入り、ビルヘルムを引き寄せました。もっと寝たいのか、うめきながら「目が開かない……」とラインハルトが言いました。

「疲れてるならもっと寝てください」

「疲れた……疲れたわ……」

ビルヘルムがラインハルトの鼻に口付けると、ラインハルトは顔を上げてビルヘルムに口付けながら「死にそう」と言ったので、思わず「愛おしいです」とビルヘルムは言いました。

ようやく目をあけたラインハルトを見て、ビルヘルムは喜びました。

彼女の閉じていた目が開くと、その中に光が入って太陽が満開するかのように見える。父親であるリンケ侯爵は蜂蜜を塗ったアップルパイに例えたけど、ビルヘルムは素朴な表現だと思いました。

ビルヘルムが詩人だったら、世界で最も美しい言葉はラインハルトが独占したはず。それをラインハルトに伝えた時は、「あなたが詩人じゃなくてよかった」と言われてしまったけれど。

「眠りに落ちて同じ言葉を繰り返す姿がどれほど愛らしいか知っていますか?」

「それで首都に来て入城したばかりの私をこんなに苦しめたの?」

ラインハルトは七日ほど走ってオリエントの水晶門を通って首都に来たばかりでした。知らせを受けたビルヘルムは朝からそわそわと待ち、ラインハルトが到着するなり自分の部屋に引きずり込みました。

「痛かったでしょ」

ビルヘルムの肩にはラインハルトがつけた歯型がついていたけど、ビルヘルムは「あなたが首都にいた証拠です」と笑った。

「本当に傷として残ったらどれだけ良いか」と言うビルヘルムに、ラインハルトは「そう。なら私の手もそうね」と言います。

ラインハルトの手のひらには大きな傷があり、ビルヘルムはすぐに「そんな事言わないでください」と言ったけれど、「あなたの言ったことと変わらないよ」とラインハルトは返しました。

手の傷はビルヘルムの自死を止めようとした時に傷ついたものです。どんなものでも怪我を良いものとしないでというラインハルトからの教えだと思います。ビルヘルムは傷でも喜んじゃうから…。

ビルヘルムに抱き寄せられ、素肌が触れ合ったけど二人とも傷だらけの体なのでそれほど柔らかくはありませんでした。ビルヘルムはラインハルトに命を握られる事を喜ぶのを、ラインハルトは理解していました。

知ってる。男はラインハルトが私の命を握って揺さぶる気持ちが好きだ。
ラインハルトが彼の肩を噛む時は、ほとんどが彼女も正気ではないのでよく分からないが、時々気が気でなくても、私の歯がその固い肉に食い込む時には一層激しくなる情事を見ればそうだ。
ただし、逆の場合、男はこの上なく冷え込む。

ラインハルトの傷は、全てビルヘルムによるものだから、ビルヘルムはラインハルトの傷には特に敏感でした。

「私の頬の傷があなたを愛している証拠だと言っていたじゃない?」

「愚かな昔の自分をどうすればいいですか…」

ラインハルトにとって、それは驚くべきことでした。以前は心を痛めながらも恍惚としていたビルヘルムが、今は死にそうな顔になっています。

ビルヘルムには体より心に細かい傷がたくさんありました。その傷はラインハルトがつけたものもあります。それに対してラインハルトが謝ると、「そんなことより俺はあなたがくれる傷に興奮します」と言いました。

お互いの傷を、冗談を混じえながら笑いあえる人になったのだとラインハルトは思いました。

しかしビルヘルムはすぐに「あなたに傷をつけておいてこんな事を言うなんて、俺は本当に死ななければ」と言い出すので「死んではいけない」とラインハルトは宥めます。

「あなたが怪我をするたびに、馬鹿な事をしていた子は、死ななければなりませんでした」

「だめだってば」

「残りの人生はずっとあなたのそばで贖罪させてください」

「王冠を脱ぐのもだめだし」

「本当に私の主人は優しくない」

低い笑い声、柔らかい肌と口付けで、ラインハルトは幸福感で満たされました。しかし、今回ラインハルトには重大な使命があったので、起き上がってガウンを羽織り、ビルヘルムに尋ねます。

「ビルヘルム、私は今回早く来たよね?」

まだ時期は晚春で、約束の夏よりも早かった。ビルヘルムはすぐに「ルーデンで何かあったんですか?」と尋ねますが、ラインハルトは「あえて言えば、ルーデンではなく私に」と答えます。

「ビルヘルム、私がもう一度命を差し出したらどう?」

「それはどういう……」

「三人目ができた」

言葉を失っているビルヘルムに、「今度は私のそばにいて欲しいんだけど」と言いました。どうすれば世の中に子供が生まれてくるのか、おそらくまだまともに知らない青年に。

ディートリッヒの記憶

人々はラインハルトが皇后になるのか、ならないのかで賭けをしているようだった。成人を迎えていない皇子が首都を出るのも異例で、またその皇子がラインハルトの元に暫く滞在したので、きっとラインハルトが皇后の冠を再び抱くのも近いだろうと人々は思っていました。

しかし、ヘイツはラインハルトが領土を捨てて再婚すると思っていなかったので、再婚しない方に賭けて資金調達をするのも良いと考えていましたが、難色を示したディートリッヒに止められました。

ヘイツもディートリッヒもラインハルトの体を気にしていました。リオニが第二子を産む時とても苦労したという事もあり、ラインハルト自身も第一子を産んでから七年経過しています。おまけにヘイツもディートリッヒも今回首都に随行して初めてラインハルトの妊娠を知りました。

ラインハルトは懐妊した事がわかるとマルクとリオニに口止めをしていたので、自分の妻から教えて貰えなかったディートリッヒは「妻を少し恨みそうです」と不満を言いました。

ラインハルトはヘイツに「そろそろグレイシア卿からの求婚を受け入れたらどう?」と言ったけど、ヘイツは「グレイシア卿は嫌いです」と言います。

ディートリッヒは「やはり陛下を皇位から降ろしませんか」と言い、降ろしたい理由は「一発殴りたいから」でした。

以前既に殴っていますが、この頃記憶が戻りつつあるディートリッヒとしては、自分の妹のようなラインハルトを三度も苦しめるビルヘルムをどうしてももう一度殴りたいようです。

ディートリッヒは去年の冬にルーデンを巡回中にトナカイの角にぶつかり、あやうく命を落とす所だったが、その衝撃のおかけで記憶が戻ってきていました。

庭先に視線を向けると、子供たちが喜びそうな華やかな色の服を着たビルヘルムが座っていて、その膝の上にビロイとビアンカが遊んでいた。大人しかったビロイは季節を過ごすうちに変わり、今ではビルヘルムのにしがみついて楽しそうに笑っています。

ビルヘルムの変化

ビルヘルムは以前「秋にも子供の誕生日があればあなたを夏から冬まで首都に閉じ込めることができるのに」と言ったことがあるけれど、最近は言わなくなりました。

変化があったのだろうと思ったラインハルトは、今回の懐妊の知らせを受けて、どういう反応をするのか気になっていました。マルクとリオニに口止めしたのも、懐妊の知らせを受けたビルヘルムの反応をラインハルトが直接知りたかったからでした。

今朝。ラインハルトが懐妊を知らせると、ビルヘルムはぼうっとしたのちにベッドから降り、ベッドの傍を行ったり来たりした後に再びベッドに座りました。

「じゃあ今回長く滞在するというのは…」

「ルーデンの医者より首都の方が腕がいいでしょ?」

ラインハルトが自らつけた首の傷も、リオニが「私の母より刺繍の腕がいいんですね」と冗談を言うほど綺麗に縫合されていたので、その腕を見込んで出産は首都で行うつもりでした。

「嬉しくない?」

「嬉しいです、ラインハルト。でも」

「でも?子供を産んで暫くは動けないからあなたのそばには一年以上いることになる。秋の誕生日の子供が欲しいって言ってたこともあったでしょ?」

ビルヘルムは「でも」と何回か繰り返したあとに、「俺は何も知りませんでした」と言います。

ビロイの時は興味が持てず、ビアンカの時は余裕がなかった。結局ビルヘルムがラインハルトの苦痛を理解するまでに時間がかかってしまっていた。ようやく理解できるようになったのも最近で、人からラインハルトが出産の時に血を流しすぎてしまい、命が危なかったと聞いたからでした。

自分が軽々と口にしていたこれまでの言葉が、ラインハルトの命の危険を伴っていると理解したビルヘルムは、顔を真っ青にしました。

理解したから、秋の誕生日の子供、という話をしなくなったのだとラインハルトは察します。

ビルヘルムは、宮廷医に相談して子供を作らないための薬を飲んだり、自分なりに防ごうとしていたことを明かしました。どうりでベッドの上で時折退いたりしたわけだと納得したラインハルトは「私に相談もなしに!」と文句を言いました。

逆にラインハルトは三人目が欲しかった。去年の冬、「狂った犬」などと呼ばれていたビルヘルムがすっかり大人しくなってしまい、おまけに忍耐力もつけてしまったので、ラインハルトは北部に伝わる度数の強い酒を煽ることになり、ビルヘルムにはその三倍の量を飲ませました。その時の結果、子供ができた。

「俺はあなたが危険になる状況に耐えてまで、新しい子供が欲しいとは思わなかったんです」

「あなたの気持ちはわかった。でも私は3人目が欲しいの、ビルヘルム」

途中ですがひとまず今回の更新はここまでとします。

外伝一話最後まで投稿できずにすみません!近日中にUPします!

ABOUT ME
いり
異性愛・同性愛に関係なく読みふけるうちに気づいたら国内だけではなく韓国や中国作品にまで手を出すようになっていました。カップルは世界を救う。ハッピーエンド大好きなのでそういった作品を紹介しています。

POSTED COMMENT

  1. ぴーちゃん より:

    ありがとうございますー!待ってました♡なんと微笑ましい外伝♡とても素敵なこの物語の続きにホッコリしたのと、安堵と…嬉しい気持ちでいっぱいです。
    本当に続きを読ませて頂きありがとうございます!

  2. みいしゃ より:

    いりさん、こんばんは。外伝Upありがとうございました。ここまで来るともう不穏なことは無いだろうと安心して読み進められるので、ただただ楽しんで二人の物語を堪能しています。ディートリッヒも戻りつつあるのが嬉しい。シエラにはヘイツにもう少し頑張ってほしいけど(笑)今の漫画は一番辛いところに差し掛かっているのでこのいりさんの記事を読みながら心を落ち着かせて行こうと思います。(*^^*)

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